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東京地方裁判所 平成元年(ワ)6466号 判決 1990年7月31日

原告 菊地トミヱ

右訴訟代理人弁護士 川﨑友夫

同 川﨑直人

同 戸谷博史

被告 ベッシー薬粧株式会社

右代表者代表取締役 土屋トヨ

被告 有限会社 不動産照力

右代表者代表取締役 市ケ谷孝

<ほか一名>

右被告ら訴訟代理人弁護士 新井彰

同 小池金市

主文

一  被告らは、原告に対し、連帯して金一二〇〇万円及びこれに対する平成元年四月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

1  被告らは、原告に対し、連帯して金六四九八万四一〇〇円及びこれに対する平成元年四月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  被告ら

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は、昭和六二年九月一一日、内外興産株式会社から浦和市元町三丁目一六三番三山林二一四平方メートル(以下「本件土地」という。)を代金一億九三二八万円で買い受けて(内外興産株式会社は、株式会社エー・エム・シー(以下「エー・エム・シー」という。)からこれを買い受けていた。)、これを支払い、同年一〇月七日所有権移転登記を受けて、所有している。

2  被告ベッシー薬粧株式会社(以下「ベッシー薬粧」という。)は、昭和六二年一〇月二一日、原告を債務者として、本件土地について浦和地方裁判所に対し処分禁止の仮処分を申請し、同日、同裁判所からその旨の仮処分(以下「本件仮処分」という。)を得て(同裁判所昭和六二年(ヨ)第六六三号)、処分禁止の登記がされた。

3  右仮処分申請において、被告ベッシー薬粧は、次のとおり主張した。

被告ベッシー薬粧は、本件土地を所有していたところ、その代表者土屋清蔵の長男清志は、昭和六二年七月四日、エー・エム・シーから八〇〇〇万円を借り受け、同社に対し、本件土地を譲渡担保に供した。しかし、右は、清志が代表者に無断で印鑑を持ち出してするなどした無権代理行為であるから、被告ベッシー薬粧は、依然本件土地の所有権を有する。

4  原告は、本件仮処分に対し、異議を申し立てたところ、浦和地方裁判所は、平成元年二年二七日、本件仮処分を取り消し、被告ベッシー薬粧の仮処分申請を却下した(同裁判所昭和六二年(モ)第二三六三号)。被告ベッシー薬粧は、控訴したが、東京高等裁判所は、平成元年八月三〇日、控訴棄却の判決を言い渡し(同裁判所平成元年(ネ)第一一五八号)、この判決は確定した。

5  被告ベッシー薬粧は、清志が、代理権を有することを知りながら無権代理であると虚偽の主張をして(少なくとも代理権があることを知らなかったことには、過失がある。)本件仮処分申請に及んだものであるから、その不法行為により原告が被った後記損害を賠償する義務がある。また、右の点からみて、被告ベッシー薬粧が、本件仮処分に対する原告の異議について不当に応訴した行為及び第一審の判決に対し不当に控訴した行為も、原告に対する不法行為となる。

さらに、被告ベッシー薬粧は、本件仮処分の申請の後、原告との交渉の過程で原告がエー・エム・シーと無関係であることが判明した時点で、本件仮処分申請を取り下げるべき義務があったにもかかわらず、これを取り下げなかったから、右は不作為により不法行為となる。

6  被告有限会社不動産照力(以下「被告不動産照力」という。代表者被告市ケ谷孝)は、被告ベッシー薬粧の債権者であり、実質的な本件土地の所有であったものであるが、被告不動産照力及びその代表者の被告市ケ谷は、被告ベッシー薬粧をして前記のとおり理由のない本件仮処分の申請をさせ、あるいは被告ベッシー薬粧の主張が理由のないことを知りながら、被告ベッシー薬粧に対し、本件仮処分の保証金一六〇〇万円を貸し付けたものであるから、共同不法行為あるいは不法行為の教唆、幇助により、同様の責任を免れない。

なお、前項のその余の被告ベッシー薬粧の不法行為についても、右被告らも同様の責任を負うべきである。

7  原告は、被告らの不法行為により次の損害を被った。

(一) マンション建築の遅延による損害 四二三三万三一〇〇円

原告は、昭和六二年一〇月三一日株式会社大進工務店との間で八九八〇万円でマンションの建築請負契約を結んで、着工しようとしていた。

(1) 家賃収入 一七〇一万円

一か月八一万円の賃料を見込んでいたが、本件仮処分により完成が二一か月遅れたことにより一七〇一万円の収入を得られなかった。

(2) 工事費用の高騰による損害 二五三二万三一〇〇円

当時前記金額で建築できたものが、現在一億一五一二万三一〇〇円でなければ建築できない。なお、建築費の高騰は予測された。

(二) 弁護士費用

(1) 仮処分異議事件 一二二八万八〇〇〇円

(2) 本件損害賠償事件 五四二万三〇〇〇円

(三) 慰謝料 五〇〇万円

原告は、未亡人であり、本件土地にマンションを建築して生活しようとしていたところ、突然の本件仮処分によりその予定が狂うなど精神的苦痛を受けた。

8  よって、原告は被告らに対し連帯して、不法行為による損害賠償として六四九八万四一〇〇円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成元年四月二五日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1のうち原告がその主張の登記を有することは認めるが、その余の事実は否認ないし争う。

2  同2ないし4の事実は認める。

3  同5の事実は否認する。

被告ベッシー薬粧が本件仮処分申請に及んだことには、相当な理由がある。すなわち、当時、被保全権利の存在及び本件土地が他に処分される極めて切迫した危険性という保全の必要性があった。しかし、仮処分異議事件の裁判所は、土屋清蔵の健康状態ひいては生活状態について、十分に審理せず、被保全権利について事実を誤認したものである。

仮に清志に代理権限があったと認められるとしても、エー・エム・シーの代表者の佐野公は、当初から本件土地を転売するつもりであったにもかかわらず、弁済期日に貸金を返済すれば、本件土地を返す旨の虚偽の事実を述べて清志を欺いたもので、清志は、錯誤により譲渡担保契約を結んだものであるから、この契約は要素の錯誤により無効である。また、原告は、エー・エム・シーらと通謀して被告ベッシー薬粧を害する意図で本件土地を取得したものである。これらの主張がされれば、被告ベッシー薬粧は、前記異議事件において勝訴していたはずである。

4  同6の事実は否認する。

被告不動産照力は、被告ベッシー薬粧に対し二億一〇〇〇万円の債権を有していたが、被告ベッシー薬粧が昭和六二年五月に本件土地の隣地を売却した代金からすべて返済を受けており、本件土地について何らの利害関係もないし、本件土地に関して被告ベッシー薬粧から金員を受け取ったこともない。ただ、被告ベッシー薬粧から頼まれて、本件仮処分の保証金を貸しただけである。

5  同7、8は争う。

三  抗弁

仮に本件仮処分により原告が何らかの損害を受けたとしても、本件土地の登記簿には、所有権移転請求権仮登記や差押登記などが無数についていたから、原告は、本件土地を買うに当たり関係者に聞くなど十分に調査すべきであるのに、これを怠った過失があるので、損害賠償額の算定に当たり斟酌されるべきである。

四  抗弁に対する認否

争う。

第三証拠関係《省略》

理由

一  請求の原因1のうち、原告がその主張の登記を有することは当事者間に争いがなく、《証拠省略》によれば、請求の原因1のその余の事実が認められる。

二  請求の原因2ないし4の事実は、当事者間に争いがない。

そうすると、このように仮処分が仮処分異議訴訟で取り消され、仮処分申請人敗訴の判決が確定したときは、他に特段の事情のないかぎり、仮処分申請人において、過失があったものと推定される。

三  そこで、被告ベッシー薬粧が、本件仮処分の申請をするに至った経緯等について検討する。

《証拠省略》によれば、次の事実が認められる。

被告ベッシー薬粧は、化粧品等の販売を業としていたが、昭和六〇年五月頃、倒産し、その後、債務の整理をしていた。被告ベッシー薬粧の代表者土屋清蔵の長男で、その取締役として、その営業等に携わってきた清志は、被告ベッシー薬粧の右整理を手伝っていた不動産業者エー・エム・シーの代表者佐野に対し、本件土地を担保に八〇〇〇万円の借り入れを申し込み、昭和六二年六月二五日、本件土地を譲渡担保として、右金員を借り入れた(手取りは、約七〇〇〇万円であった。)。本件土地は、当時、売買を原因として被告ベッシー薬粧から被告不動産照力に所有名義が移っていたが、同年七月四日、その登記が抹消され、被告ベッシー薬粧からエー・エム・シーに所有権移転登記がされた。その後、清志は、借金を支払って本件土地を取り戻そうと、佐野と交渉し、同年一〇月八日、同人との間で、同月一九日までに八〇〇〇万円でこれを買い戻す旨の合意をした。そして、清志は、一〇月一九日に約五〇〇〇万円を用意するなどして佐野に会ったが、全額の用意ができなかったため、買戻しはできなかった。

ところで、エー・エム・シーは、実際には、同年九月一一日に既に内外興産株式会社に一億七〇〇〇万円で本件土地を売却し、内外興産株式会社は、これを同日一億九三二八万円で原告に売却して、中間省略により同年一〇月七日に、原告に対しその旨の所有権移転登記がされていた。

被告ベッシー薬粧は、これらの事実を知って、同年一〇月二一日、清志が代表者に無断で本件土地をエー・エム・シーに売却したとして(なお、原告がエー・エム・シーと通謀しているのではないかと考えた。)、本件仮処分申請に及んだ。しかし、本件仮処分に対し、原告から異議が出た。その訴訟の結果は、前記争いのないとおりである。その判決において、被告ベッシー薬粧の代表者土屋清蔵は、昭和六二年三月頃から胃癌のため通院し、八月から一〇月にかけて入院するなどして、一二月一日に癌が肝臓に移転して死亡したこと、清志は、従来より被告ベッシー薬粧の業務全般に携わってきたもので、被告ベッシー薬粧の債務整理のためにその資産を売却する権限を授与されていたことなどが認定され、本件仮処分は取り消され、被告ベッシー薬粧の仮処分申請は却下された。

以上の事実が認められ、右事実によれば、被告ベッシー薬粧が、清志がエー・エム・シーに騙されたとして本件土地を取り戻そうとし、その際、原告がエー・エム・シーと通謀しているのではないかと考えたこと自体は、やむを得ない面はあるものの、本件仮処分の申請に当たり、清志に被告ベッシー薬粧の資産を処分する権限がなかった旨主張したことには、到底相当の理由があったということはできない。《証拠判断省略》

なお、被告ベッシー薬粧は、エー・エム・シーとの譲渡担保契約において、清志に要素の錯誤があり無効であるとか、原告がエー・エム・シーと通謀して本件土地を取得した旨、本件訴訟において新たに主張するが、これらは本件仮処分異議において主張していなかった事由であって、被告ベッシー薬粧が本件仮処分申請に及んだことを相当とする理由とはなりえないというべきである(しかも、本件全証拠によるも、このような事実を認定するに足りない。錯誤の主張についてもエー・エム・シーの詐欺が成立するかはともかく、譲渡担保契約の締結そのものに要素の錯誤があったとはいえない。)。

そうすると、被告ベッシー薬粧が本件仮処分の申請に及んだことには、特段の事情があるとはいえず、少なくとも過失があるから、その余の点について判断するまでもなく、不法行為責任を免れない。

四  次に被告不動産照力及び同市ケ谷の責任について検討する。

《証拠省略》によれば、次の事実が認められる。

1  被告不動産照力は、昭和六二年一月五日付で、被告ベッシー薬粧の債務整理のために、被告ベッシー薬粧に対し、本件土地及びその隣接する二筆の土地(一六三番五及び八の土地)を譲渡担保にして金員を貸与し(その後、同年三月二五日付で登記原因を譲渡担保から売買に更正)、ベッシー薬粧は、これを資金として債権者に一定の割合の弁済をした。その後、右二筆の土地については、同年六月二日付で被告不動産照力の登記が抹消され、被告ベッシー薬粧から伊藤盛之助に代金二億五七〇〇万円で売却され、同日付でその旨の所有権移転登記がされた。これは、被告不動産照力が、被告ベッシー薬粧から右貸金の弁済を受けるため、税務上の理由から、一旦被告ベッシー薬粧に所有権が戻った形にして、これを伊藤に売却したものである。しかし、本件土地の登記は、依然被告不動産照力の所有名義のままとなっていた。

清志は、本件土地をエー・エム・シーに対して譲渡担保に供したが、その際、同年七月四日に初めて本件土地についての被告不動産照力の前記登記が抹消され、同日付で被告ベッシー薬粧からエー・エム・シーに対し所有権移転登記がされた。

2  清志は、本件土地を担保にエー・エム・シーから借りた約七〇〇〇万円の使途について、これを自己の個人的債務の弁済に充てるなどしたといいながら、その内容については、極めてあいまいな答えに終始し、これをついに明らかにしない。

3  清志は、仮処分異議訴訟において、本件土地は、エー・エム・シーの譲渡担保に供する際にも、依然被告不動産照力の所有であった(被告ベッシー薬粧ないし土屋清蔵においていずれ買い戻すつもりであった。)ことを認める供述を繰り返ししている。

4  被告不動産照力は、清志がエー・エム・シーから本件土地を買い戻そうとした際、三五〇〇万円を清志に渡している。

5  被告不動産照力は、本件仮処分に際し、その保証金一六〇〇万円を被告ベッシー薬粧に渡している。

以上の事実が認められ、これらの諸点からみると、清志が本件土地をエー・エム・シーに対し譲渡担保に供したのは、被告ベッシー薬粧の被告不動産照力に対する債務を弁済するためであったものと推認され、本件土地の実質的所有者は、被告不動産照力であったか、少なくとも、本件土地の帰趨について被告不動産照力は重大な利害関係を有したものと認めざるをえない。

被告不動産照力及び同市ケ谷は、被告ベッシー薬粧に対する債権二億一〇〇〇万円は、本件土地の隣地二筆の売却によりすべて弁済を受けたので、本件土地は被告ベッシー薬粧に返したものであり、これについて何らの利害関係もないが、土屋清蔵が気の毒であったのでエー・エム・シーからの買戻しに協力した旨主張し、《証拠省略》には一部これに沿う記載がある。しかし、前記認定の諸点に照らしたやすく採用することができない。

なお、右被告らは、被告不動産照力には本件土地を担保に金員を借りなければならない理由はなく、仮に被告不動産照力が本件土地を担保に金員を借りるとすれば、取引銀行から借りることが可能であり、また、エー・エム・シーとの貸借に被告不動産照力の社員が立ち会っていたはずであり、さらには、本件土地の買戻を受けられなくなるようなことはしない旨主張するが、前記諸点に照らし、いまだ右の認定を左右するには至らない。

そうすると、被告不動産照力及びその代表者として前記一連の行為に関与している被告市ケ谷は、本件仮処分の申請に当たり前記のような事情を知っていたもので、被告ベッシー薬粧と一体であったものといわれてもやむを得ない。

したがって、右被告らも本件仮処分を申請したことについて、前同様少なくとも過失があるものとして、その余の点について判断するまでもなく、共同不法行為責任を免れない。

五  そこで、原告が被ったという損害について検討する。

1  マンション建築の遅延による損害

原告は本件仮処分によって、マンションの建築に着手することができなくなった旨主張するが、本件仮処分は、前記の認定のとおり本件土地の処分禁止の仮処分であり、建築禁止の仮処分ではないから、これによって直ちに本件土地上の建物の建築ができなくなるわけではない。確かに、本件仮処分異議訴訟で敗訴すれば、将来的には本件土地を失う可能性がないとはいえないが、本案訴訟もあり、また、原告の主張によれば、原告が右異議訴訟で敗訴する可能性は極めて小さかったというのであるから、事実上もさほどその危険があったとはいえない。したがって、右損害は、本件仮処分申請による不法行為と相当因果関係のある損害ということはできないから、その余の点について判断するまでもなく(なお、被告ベッシー薬粧において、本件仮処分申請当時、原告がマンションを建築することを知っていたことを認めるに足りる証拠はなく、本件全証拠によるも、同被告において、本件仮処分申請後これを取り下げるべき義務があったとまでは認められないし、本件仮処分異議訴訟に応訴したことなどが直ちに不法行為に当たるともいい難い。)、右の点に関する請求は理由がない。

2  弁護士費用について

《証拠省略》によれば、原告が本件土地を購入することを仲介した株式会社不動産センターは、原告に代わって本件仮処分異議訴訟及び本件訴訟の弁護士費用を立て替え、あるいはその支払いを約束しており、いずれ原告に求償する予定であること、本件仮処分異議訴訟においては、第一審及び第二審の着手金として第一東京弁護士会の報酬規則に則り四〇七万六〇〇〇円及び四〇七万円が、また成功報酬(消費税を含む。)として四一四万四七二〇円が支払われていること、本件訴訟においては、同様に着手金及び成功報酬として五四二万三〇〇〇円の支払い約束があることが認められる。

そして、《証拠省略》によれば、本件仮処分異議訴訟及び本件訴訟の事案の内容、性質、対象等諸般の事情を考慮すると、本件仮処分異議訴訟において支払われるなどした右金員のうち八〇〇万円、本件訴訟で約束された報酬等のうち二〇〇万円が本件不法行為と相当因果関係のある損害というべきである。

3  慰謝料について

《証拠省略》によれば、原告は、本件仮処分がされたため、その収入をあてにしていた賃貸マンションの建築着工を手控え、さらに本件仮処分異議訴訟を余儀なくされ、万一敗訴した場合は、税務上、不動産の買替えの特例を受けられなくなる心配をするなどして精神的苦痛を受けたものと認められるから、被告らはこれによる慰謝料を支払うべきところ、本件仮処分申請が前記のように理由のないものであったことをも考慮すると、慰謝料の額は二〇〇万円が相当である。

4  被告らは、原告には本件土地を取得するに当たり過失があったとして過失相殺を主張するが、本件全証拠によるも、右の点について原告に過失があったとは認められないから、右の主張は理由がない。

六  以上によれば、被告らは、本件不法行為による損害賠償として、連帯して原告に対し一二〇〇万円及びこれに対する本件訴状送達の翌日である平成元年四月二五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

よって、原告の被告らに対する本訴請求は右の限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条を、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 浅野正樹)

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